自家がんワクチン療法
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自家がんワクチン療法
肝がん の治療実績と症例



 

2008年6月末時点までに自家がんワクチン療法を受診された肝がん症例のうち、経過報告があった症例についてソフトクライテリアの観点から評価した治療成績を以下にまとめました。

 評価済み症例中64%で、臨床的に見てなんらかの改善効果(改善例 + 1年以上の長期不変・長期無増悪例)が見出されております。ソフトクライテリアは、学術的にみて厳密な評価基準(ハードクライテリア)とは異なるものですが、参考にしていただければ幸いです。

肝がんについてハードクライテリアの観点からみた臨床効果については → こちらです

ハードクライテリアソフトクライテリアとは? 解説は → こちらです

がん種

全症例数 評価済み
症例数
1)
改善例数
無効例数
改善率1 転帰不明追跡不能 改善率2 経過観察中
6)
改善
2)
長期不変・無増悪
(1年以上) 3)
無増悪
(6ヶ月以上1年未満)
無効
改善例数+無効例数中
4)
転帰不明も無効とした場合 5)
54 25 4 12 1 8 64% 15 40% 14
注)

1)

評価済み症例には投与中止例はない
2)
残存腫瘍サイズ縮小、腫瘍マーカー減少、推定余命より2倍以上の延命、QOL(KPS評価)の明らかな改善等の数値化できる指標のいずれか; 主治医の評価による何らかの臨床上の好ましい反応
3)
長期不変・無増悪 (ワクチン投与後1年以上無再発あるいは無増悪)
4)

(評価済み症例数から+転帰不明追跡不能例、投与中止例を除いた数を分母にとったとき)

改善率1
=改善例数/(改善例数+無効例数)

5)

(転帰不明追跡不能を全例無効と仮定した場合)

改善率2=改善例数/(改善例数+無効例数+転帰不明追跡不能)

6)
ワクチン投与後1年未満


<代表的症例>

〔症例0004〕
 B型肝炎を背景とする肝癌。術前後の血液学的データからは半年後の再発確率が高い。02年9月自家がんワクチン接種、18ヶ月(04年3月)無再発。その後再発および再々発するも08.11時点(6年経過)で勤務継続中。

〔症例0014〕
 B型肝炎を背景とする肝癌。術後1ヶ月に自家がんワクチン接種4年以上無再発

〔症例0054〕
 C型肝炎を背景とする肝癌繰返し再発その都度手術。2003.11自家がんワクチン接種、05.12月末現在(2年1ヶ月経過)、再発なし、腫瘍マーカーも正常値。

〔症例0105〕
 肝炎背景因子は不明。直径8cmもの癌巣あり。自家がんワクチン接種1年経過無再発、1年半後に再発。

〔症例0113〕
 肝炎背景因子は不明。2004.07自家がんワクチン接種、05.06時点(1年経過時)で無再発。腫瘍マーカーも正常。

〔症例0135〕
 B型肝炎を背景とする肝癌。2004.09自家がんワクチン接種、以2年2ヶ月経過時無再発

〔症例0163〕
 肝炎背景因子は不明。自家がんワクチン療法開始前より腫瘍マーカーAFPの急激な増加あり、487に達する。ワクチン接種開始直後よりマーカーは低下し400〜417となるも、2コース目開始前より再度の急上昇に転じた。この間、胸水大幅減少呼吸困難が回復坂道を徒歩で登れるほどにQOL改善。しかし3コース投与後、永眠。

〔症例0171〕
 野球ボール大の肝未分化肉腫。 術後化学療法を施行したが再発。その後2004.12自家がんワクチン接種2年経過無再発

〔症例0175〕
 アルコール性肝硬変を伴う肝細胞癌。発症後、約4〜6ヶ月間隔で再発を5回繰り返し常に腫瘍マーカーの再上昇に悩まされてきた。その都度TAE、TAI、PEIT法による血管内治療を施行。その後、自家がんワクチン接種。以後、3ヵ月・半年後でもCT画像上で再発確認されず、腫瘍マーカーPIVKAIIEC値も正常化し、約1年経過

   (この症例の腫瘍マーカーの変化は下図をご覧下さい。また、2007年の総説概要の図4も同じです。
   
こちら )

〔症例0204〕
 B型肝炎を背景とする肝癌。2005.03自家がんワクチン接種、07.03(2年経過時)無再発

〔症例0210〕
 C型肝炎を背景とする肝癌2005.04自家がんワクチン接種1年7ヶ月経過無再発

〔症例0245〕
 肝炎背景因子は不明。治療開始時、QOLの指標であるKPS70%が、3ヵ月後KPS80%に改善さらに例外的に自家がんワクチン2コース分接種後はKPS90%に改善。買い物、初詣に出かける。しかし、ワクチン接種1年後に死亡。

〔症例0262〕
 C型肝炎を背景とする肝癌2005.11自家がんワクチン接種1年1ヶ月経過時点無再発

〔症例0314〕
 B型肝炎を背景とする肝癌。2006.04自家がんワクチン接種1年7ヶ月経過無再発

〔症例0439〕
 C型肝炎を背景とする肝癌2006.11ワクチン、08.06(1年7ヶ月経過)まで無再発。その後再発。

〔症例0504〕
 肝炎背景因子は不明。自家がんワクチン接種2か月後のMRIにて一部癌部組織が消失