<脳腫瘍臨床試験について>
脳腫瘍は、その悪性度によって、グレードI〜IVに分類されています。特にその中でもグレードIVの多型膠芽腫( Glioblastoma multiforme, GBM )は、ガンの中でも最悪中の最悪といわれ、 従来の治療法では、患者の97%以上が5年以内に死亡しています。
GBMに対する自家がんワクチン(脳腫瘍の場合は、正式には自家腫瘍ワクチンとなります)の効果が、厳密なハードクライテリアの観点から検討され、表のような明瞭な治療効果が認められております。(ハードクライテリアの解説はこちら)
文献:Ishikawa E, Tsuboi K, et al., A clinical trial of autologous formalin-fixed tumor vaccine for glioblastoma multiforme patients. Cancer Sci., 2007, on-line
http://www.blackwell-synergy.com/toc/cas/0/0 ( doi: 10.1111/j.1349-7006.2007.00518.x )
| 症例# |
前治療 |
術前腫瘍体積 |
自家がんワクチン接種後のベストレスポンス |
生存期間
(初回手術後、月) |
生存期間
(ワクチン接種後、月) |
1 |
手術・放射線・抗がん剤 |
54ml |
NC |
31.7 |
|
2 |
手術・放射線・抗がん剤 |
1.8ml |
PD |
41.5 |
10.7 |
3 |
手術・放射線・抗がん剤 |
96ml |
PD |
10.8 |
5.0 |
4
=症例0029 |
手術・放射線・抗がん剤 |
67ml |
PR |
31.8 |
20.3 |
5 |
手術・放射線・抗がん剤 |
13ml |
PD |
9.1 |
4.5 |
6
=症例0039 |
手術・放射線・抗がん剤 |
32ml |
CR |
48.0+ |
44.3+ |
7 |
手術・放射線・抗がん剤 |
不明 |
PD |
15.7 |
4.5 |
8 |
手術・放射線・抗がん剤 |
不明 |
PD |
10.8 |
3.6 |
9 |
手術・放射線・抗がん剤 |
13ml |
PD |
11.6 |
7.0 |
10 |
手術・放射線・抗がん剤 |
2.6ml |
PD |
24.0 |
17.0 |
11 |
手術・放射線・抗がん剤 |
10ml |
MR(*) |
11.5+ |
3.0+ |
12 |
手術・放射線・抗がん剤 |
11ml |
MR |
12.7+ |
8.0+ |
| 奏効率(CR+PR) = 17% |
中央値
24.0ヶ月 |
中央値
10.7ヶ月 |
| NCまでを含めた有効率(CR+PR+MR+NC) = 42% |
注: 再発・術後残存している多型膠芽腫の場合、テモダール治療(奏効率7%、
文献:J Neurooncol. ;81:271-7,
2007)に比べれば、自家がんワクチンの奏効率17%は非常に高い値です。それほどまでに、このガンは悪性度
が高いのです。
(*) #11は自家がんワクチン接種後3ヶ月で再発腫瘍が30%縮小(MR)、その後テモゾロマイドを投与しPRとなり
ましたが、ここではMRのままにしてあります。
よく知られているように、脳腫瘍の術後に標準的に使用される抗がん剤・テモダールでは、問題となる副作用が多数認めらるのに対し(テモダール添付能書)、自家がんワクチンでは、これまでに500例を越える各種がん症例に接種してきましたが、問題となる副作用は認められておりません。
〔症例0029〕
初回術後再発した多型膠芽腫(GBM、グレードIV)。放射線81.2Gy照射、抗がん剤ACNU2コース実施。2回目の手術後、自家腫瘍ワクチン接種開始。10週間後には25%縮小(MR)。9ヵ月後には、ピーク時に比べ半分以下の部分寛解(PR)に。約半年後に退院して自宅で日常生活。04年7月再増大したためテモゾロマイド投与開始。初回術後31.8ヶ月、ワクチン接種後からは20.3ヶ月生存。
〔症例0039〕
GBM。手術、放射線61.2Gy照射後、抗がん剤ACNU2コース実施。以後、自家腫瘍ワクチン療法を施行。腫瘍体積減少を認める。04年2月までは一部縮小(MR)。その後部分寛解(PR)、術後24ヵ月以降は完全寛解(CR)となり社会復帰、07年5月現在CR継続中。
以下は、2007年2月6日時点までに自家がんワクチン療法を受診された脳腫瘍症例のうち、経過報告があった症例についてソフトクライテリアの観点から評価した治療成績を以下にまとめました。
評価済み症例中41%で、臨床的に見てなんらかの改善効果(改善例 + 1年以上の長期不変・長期無再発例)が見出されております。ソフトクライテリアは、学術的にみて厳密な評価基準(ハードクライテリア)とは異なるものですが、参考にしていただければ幸いです。
ハードクライテリア、ソフトクライテリアについての解説、こちら
|
|
全症例数 |
評価済み
症例数 |
改善例数 |
無効例数
|
改善率1 |
転帰不明 |
改善率2 |
経過観察中
3) |
改善
4) |
長期不変・無再発
(1年以上) 5) |
無再発
(6ヶ月以上1年未満) |
|
評価済み症例中
6) |
転帰不明=無効とした場合 7) |
| 脳腫瘍 |
74 |
37 |
8 |
7 |
3 |
19 |
41% |
19 |
27% |
18 |
| 注: |
|
| 3) |
ワクチン投与後1年未満 |
| 4) |
残存腫瘍サイズ縮小、腫瘍マーカー減少、推定余命より2倍以上の延命、QOL(KPS評価)の明らかな改善等の数値化できる指標のいずれか; 主治医の評価による何らかの臨床上の好ましい反応 |
| 5) |
長期不変・無再発 (ワクチン投与後1年以上無再発あるいは無増悪) |
| 6) |
改善率1=(改善例数)/(評価済み症例数) |
| 7) |
改善率2=(改善例数)/(評価済み症例数+転帰不明) |
〔症例0197〕
GBM。術後2年2ヶ月、自家がんワクチン接種後1年10ヶ月無再発。
〔症例0230〕
GBM。腫瘍MIB-1 Index 50以上。放射線との時差併用後、一過性増大あるもその後不変(SD)となり、さらに半分以下の部分寛解(PR)に。
〔症例0232〕
Oligoastrocytoma。術後1年6ヶ月、自家がんワクチン接種後1年無再発。
〔症例0235〕
GBM。残存腫瘍退縮。術後24ヶ月、自家がんワクチン接種後18ヶ月経過時、無再発。主治医評価でCR(完全寛解)。
〔症例0239〕
Oligodendroglyoma。術後4年3ヶ月、自家がんワクチン接種後1年5ヶ月経過時生存。
〔症例0243〕
GBM。放射線と自家がんワクチンの時差併用で頭蓋内腫瘍が著明縮小、自家がんワクチン接種前後で頭蓋底部に再発増大があったが放射線照射野外にもかかわらず増殖停止し長期不変(SD)となり、臨床症状改善。主治医は自家がんワクチンの効果ありと判定、追加療法不要との判断だったが、本人の強い要請により、その後化学療法を開始。
〔症例0264〕
小脳GBM。05年9月の手術直後に比較し、05年12月に1/2以下に縮小、06年2月に部分寛解(PR)確認。
〔症例0265〕
GBM。術後1年7ヶ月、自家がんワクチン接種後1年1ヶ月経過時生存。
〔症例0273〕
Oligoastrocytoma。術後2年、自家がんワクチン接種後1年1ヶ月経過時無再発。
〔症例0274〕
上衣腫。術後4年4ヶ月、自家がんワクチン接種後1年1ヶ月経過時無増悪。
〔症例0297〕
Astrocytoma。術後1年2ヶ月、自家がんワクチン接種後1年経過時無再発。
〔症例0305〕
退形成性星細胞腫(AA、グレードIII)。自家がんワクチン接種後に腫瘍縮小、主治医判定では部分寛解(PR)。4ヵ月後テモダール投与開始、さらに縮小した。
〔症例0390〕
GBM。自家がんワクチン接種5ヵ月後、病状安定、腫瘍縮小。