専門用語集

がんワクチン療法

 


体内の免疫系が正常細胞を傷つけず、がん細胞だけを排除できるかどうかは、議論のあるところでした。しかし、キラー T 細胞( CTL )が認識することのできるがん細胞に特異的な抗原があることが明らかとなりました。現在までに、数100種類のがん抗原が見つかっていて、その遺伝子も明らかとなってきました。最近では、それらの抗原を用いた新しい免疫療法として「がんワクチン」療法が行われるようになってきました。がん抗原タンパクあるいはそれに由来する断片である ペプチド を、免疫反応を増強させる補助物質(アジュバントと呼びます)とともに投与する治療法や、樹状細胞 を用いて、がんに特異的なキラー T 細胞を誘導する方法もありますが、がん細胞中のあらゆるがん抗原を逃さないようにするため、がん細胞やがん組織そのものを用いる方法が最も注目されています。

 

 

活性化リンパ球療法

 


がん患者自身のリンパ球を 抗 CD3 モノクローナル抗体 で刺激し、 インターロイキン 2 存在下で患者の体外で増殖させることにより、増えた活性化リンパ球を再び患者に戻し、がん細胞を殺し結果的にがん組織を破壊する治療法。現在、国内ではいくつかの大学病院で高度先進医療として実施されているほか、民間の医療機関でも自由診療として実施されています。

 

 

ナチュラルキラー細胞(NK: Natural Killer cells )

 


ウイルス感染細胞やがん細胞などの溶解活性をもつ細胞で、血液中の白血球成分のうち、 15-20 %存在する。感染症、がんなどで働き、自然免疫反応に関与すると考えられています。

 

 

細胞傷害性 T リンパ球( CTL : Cyototoxic T lymphocytes )

 


ウイルス感染細胞やがん細胞などで、特定の抗原を細胞表面にもつ細胞を殺傷する T 細胞。CD8 分子を持つ T 細胞が主なものです。

 

 

樹状細胞( Dendritic Cells ; DC )

 


T 細胞が抗原に対して活性化し、キラー T 細胞( CTL )になるためには抗原提示細胞と呼ばれる細胞によって刺激される必要があります。抗原提示細胞の中で特に抗原を提示する能力が高い細胞が樹状細胞です。

 

 

抗 CD3 モノクローナル抗体

 


CD3 はヒトT細胞の表面に存在する分子です。この CD3 分子を特異的に認識するのが抗 CD3 モノクローナル抗体。抗 CD3 モノクローナル抗体が T リンパ球上の CD3 分子に結合すると、 T 細胞が活性化します。

 

 

インターロイキン 2

 


1970 年代に T 細胞の増殖を促進する物質として見出されたサイトカイン(免疫を担当する細胞がつくる物質。免疫応答の調整、免疫担当細胞の活性化、増殖作用がある)の一種です。

 

 

ペプチド断片

 


抗原タンパクは抗原提示細胞の中で分解されて、短いアミノ酸がつながったペプチド断片となり、抗原提示細胞の表面に出されます。T細胞は樹状細胞によって提示されたペプチド断片を認識します。